今日の午後、待ちかねていたCDが届いた。
Wilhelm Kempffのベートーヴェンのピアノソナタ全曲集とシューベルトのピアノソナタ全曲集。それとWilhelm Backhausのベートーヴェンの4大ピアノソナタ集だ。
奇しくもふたりのWilhelmになった。
これだけ買っても8,000円足らずだ。
午後一杯の時間を費やして、Backhaus全部とKempff殆どを聴いた。
ちょっと大失敗を(また)やらかしてしまい、しょぼくれている。だからだろうか、Backhausのタッチが限りなく優しく響き、胸に迫るものを感じた。
Kempffはキッパリしたタッチで、荘厳な寺院を思わせる演奏だ。ちょっとした音程の上がり下がりに妙な快感がある。
どちらも良い。
気持ちが弱くなっている時、BackhausのWaldsteinを聴く巡り合わせはいつ始まったのだろう?
記憶の中で最も古い「慰めのWaldstein」は43年前の椎名町での事だ。Nespaという喫茶店で聴いていた。Rondoで繰り返されるテーマが心に響き、降りしきる雨の中どうにか再生へと導かれるのを感じていた。
今回はどうなのだろう?
あのテーマは今回も限りなく優しい。
ベートーヴェンやシューベルト。Wilhelm KempffやBackhaus。
そうした人脈を築いてきた西欧文明というものはやはり良い。弱った心はすぐそんな事を考え始める。
今回はBackhausで慰められ、Kempffで叱咤された。
いつ迄も音楽が響いていて欲しい。そう思わずには居れなかった。
いつ迄も逃げていられる訳ではないが…。
…頑張れ自分!
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