高校時代からスペインに入れ上げていたらしい。その著者が、ロルカをスペインの魂と呼んで伝記をものにした。本書はそうした成立過程を経ている。必然だったのだろう。
好きこそ物の上手なれと言うが、この本を読むと、成る程と思わされる。ロルカの長くは無かった人生を、余すところなく謳いあげている。
本書の最大の長所は、ロルカの詩を、スペイン語を含めて多数翻訳してあるところだ。ロルカはその著作集、全詩集など、かなりの翻訳が出回っているが、この本で原詩に触れる事が出来、スペイン語の響きを思う存分味わう事が出来る。
本書でロルカは、家系を辿って描かれている。ロルカがその多才なセンスを発揮したのも、成る可くして成ったのだと納得出来る。
そして、彼を取り巻く人間関係の芳醇さは、改めて振り返る事をあえてしなくても、実に絢爛たるものがあったと分かる。
特にサルバドール・ダリと、深い関係にあった事を知ると、時代の中で、2人の天才がいかに見事に共鳴していたのかを、私たちは知る。
それにしてもスペインは、酷い事をしてしまったものだ。これ程の人物を、何故若くして銃殺してしまったのか?
生きていれば、成したであろう、大仕事を、未完のまま終わらせる政治の非道を改めて感じざるを得ない。
ロルカの詩は、私の人生とも深く関わり合っている。その存在は、常に大きなものだった。本書で、彼の仕事が、どの様な背景の下で行われたのかを知り、ロルカへの想いを、更に深める事が出来た。
この本で知る事が出来たロルカ像に思いを馳せながら、これからもロルカの作品を、深く味わってみたい。






