ちょっとびっくりした。
Facebookで地球温暖化防止の為に政府が進めようとしている、石炭火力発電の推進に反対する要旨のリンクを貼った。
それに対し、立て続けにコメントがあった。
いずれも地球温暖化懐疑論に基づくものだった。
予期せぬ論戦に、私は巻き込まれてしまった。
どうやら脱原発派の中には地球温暖化を原子力推進の為に仕組まれた陰謀の様に考えているらしい方々が多数いる事が分かった。
私は古くから原子力には反対してきた。
だが、同様に古くから過剰なCO2排出が地球温暖化を招くであろうという考えも持ってきた。
原子力を擁護する時、地球温暖化が良く持ち出される。
最初この論法を聞いた時は悪い冗談に違いないと思った。
原子力をクリーンと言い出すなんて…。
…あり得ない話しだ。
原子力はその核燃料を焼き固める際に、膨大な量のCO2を排出する。加えて、原子力発電所が成り立つにはその数に見合った火力発電所が必要である。
彼らが言う程には原子力は低炭素ではない。
けれど、火力発電所をぼんぼん使うのに比べたら、比較の対象ではあるまい。
原子力を否定すれば現代の病根を廃絶出来るとは全く思わない。
地球温暖化は私たちが抱える、もうひとつの大問題だと認識している。
脱原発派は環境に対してセンシティブであるのなら、もっと地球温暖化に対してもセンシティブであるべきだ。
ところが、地球温暖化を懸念する側にも、かなりいい加減な論法が見られるのも確かな事なのだ。
この辺りを懐疑論者は突いてくるのだと感じる。
再びちょっと勉強してみるつもりになった。
ひょっとすると、このBlogをお読みの方は、私が「懐疑論者」になったと思われるかも知れない。そこまで突っ込んでみようと思っている。
けれど、それ程単純な問題では無いことを、私は一応理解している心算だ。
2冊、本を読んだ。
ひとつはジェイムズ・ハンセンの『地球温暖化との闘い─すべては未来の子どもたちのために』
この人から地球温暖化の議論は始まったのだ。
批判されることが多い。ブッシュ政権に利用されただけではないかと言うのだ。
だが、彼は科学者として出来る範囲で、最大限行動してきたと、私は評価する。
この本はそんな彼の自伝的な内容が色濃く出ている。
この本の中で彼が非難しているのはグリーンウォッシュと呼ばれる態度だ。
地球温暖化や環境について懸念を表明しておきながら、実際に気候の安定化や環境保護のための行動を何も取らないことで、米国やその他の国々に広く見られる態度だと言う。
彼は地球温暖化についてもそうだが、このグリーンウォッシュに対してもその証人になることをこの本の中で表明している。
地球温暖化のメカニズムを説明している箇所は、とても分かり易い。
もう一冊はもう少しアカデミックな内容だった。
カート・ステージャの『10万年の未来地球史─気候、地形、生命はどうなるか? 』
今年は矢鱈早く春が来た。
その事を地球温暖化に絡めて語る人も多い。
一理はあるだろう。
けれど、この本を読んで、私はもう一度地球温暖化という現象のタイムスケールを考えてみた。
問題の本質を掴むには、10万年単位の時間軸で考えることが必要だろう。
この本は地層に記されたデータから、丹念に「超温暖化」の徴を読み取ってゆく。かつてはどうだったのか?
その作業は極めて実証的だ。こうした態度が地球温暖化を語るには必須なのだと教えてくれる。
そして、未来はどうなりそうなのか?
…どうすべきなのだろうか?
ハンセンの本と殆ど同時に出版された。
その為、同時に買うようにamazonなどでは誘導される。余り芳しくない。この2冊は全く異なる内容だ。
それを自覚した上でなら、同時に読んでも差し支えないだろう。
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