人生の殆どは鬱状態にある。
出来事の殆ど全てが憂鬱の種になる。
たまに(今がそうなのだが)躁状態になっても、
只単に歯止めが掛からなくなるだけで、失うものもその度に大きい。
結局後悔する。
人間が練れていないのだと実感する瞬間だ。
失うものがあっても、胆力が練れていれば、泰然としていられるだろう。
それが出来ない。
絵本、『モタさんの“言葉”』は紹介した。
その直後、NHKのどーがステーションで、この番組を動画で観ることが出来ることを知った。
実はこのサイトのURLは本にも書いてあった。
本は手元に置いておくことが出来る。そこに存在価値がある。
だが、やはり動画でこの番組を観て貰いたいと思う。語りや音楽に味があって、文や絵が一段と引き立ってくる。
昨日(ホワイトデーだった!)第25話がUpされた。これが実に良いのだ。
モタさんの“言葉”「機嫌よく振る舞いなさい」
精神科医の斎藤茂太さんは「最初に『困ったなあ』『残念だ』『むずかしいね』とマイナスの言葉を口にすれば、そのあとはネガティブな言葉しか続かない。
まず『よかった』と口にすることで、ポジティブの連鎖をつくるのが祖父の意志だった。
明るい言葉は、起こったことすべてを明るく見せる効果をもっている」と語る。
成る程と思う。
こうありたいと心がけたいとは思う。
だが、難しい。
絵を描いた松本春野さんも
絵を描きながら「えええ!?」と驚き何度も笑ってしまった回です。と語っている。
斉藤紀一氏は北杜夫の小説『楡家の人びと』にも基一郎として登場する。
気持ちが大きな人だったようだ。
泰然としている。
斉藤家の人々が希に見る程皆有名になっているのも、紀一氏を始めとする前向きな姿勢があったからではなかろうか?
この第25回で採り上げられているエピソードは斉藤家にとってもエポックメイキングな出来事であったらしく『楡家の人びと』の中にも描かれている。
楡基一郎はこの突発事件におどろくほど冷静にかまえていたが、それでもさすがに先ほどまでの上々の機嫌を損じたであろうか。折角の晴れの舞台が滅茶々々になったこと、縁起でもないこの一年のはじまりに対して、いささかなりとも眉をひそめたであろうか。いやいや、彼はそんな男ではなかった。病院として大いに外聞のわるいこの不始末に舌打ちし、従業員の監視の行きとどかぬことを説諭したりして、一同をますます恐縮させてしまうようなことは決してしなかった。人々が少しばかり薄気味がわるくなったことは、院長は騒ぎが静まったあと、時と共ににこやかに、底抜けに機嫌がよくなっていったことだ。
さすがである。
斉藤紀一氏と言えばこの回だ。第2話。
モタさんの“言葉” 「人をほめられる人が賢者」
泰然としていて褒め上手。
成功しない訳がない。そう納得出来る。
これもなかなか出来ない事だ。
弟、北杜夫が登場する第24話
モタさんの“言葉”「後悔からスタートするのさ」
では、
「大切なのは、どんな生き方も『これでよかった』とみずから認める度量と覚悟をもつことではないか」
と語っている。
これもおいそれと実行に移せない言葉だ。
私なんぞかなりはっきりと私の人生は失敗だったと思っている。
モタさんの言葉は何気にかなりハードルが高い。
せめて番組をみて、本を手にとって読んで、ほんの少しだけ、茂太さんの言葉の方向に心の姿勢を向けてみる。
私が出来る事はそんなことくらいだ。
その切っ掛けを作ってくれるだけでも茂太さんの言葉は有り難い存在だと感じている。
0 件のコメント:
コメントを投稿