古書を670円程で購入した。
だから当然文庫本だと思い込んでいた。
縦が21.5cm程ある。立派な本がやってきたものだとびっくりした。
今は1,700円程になっている。恐らくここに話題になった悪問「鐔」が収録されていることが周知されたのだろう。
問題は公表されている。私もやってみた。
良い文章だと私は思った。そう思ったのでそれが含まれた本、小林秀雄の『真贋』を購入したくなったのだ。
本が立派だったのは嬉しかった。
やはり小林秀雄は立派な本で読みたい。
それに問題中に触れられていたカラーの写真が豊富に載せられている。
『真贋』を読みたければ、この単行本を入手した方が良い。
想像してみると、確かに入試の会場では会いたくない著者だ。
私はセンター試験というものを経験していない世代だが、入試で小林秀雄と出会ったら、少なからぬ動揺を覚えただろう。
普段では考えられない判断を下してしまったかも知れない。
けれど、そういった事情がなければ、この文章は良い文章だと思う。
「鐔」は 『真贋』の中で最も良い文章を選んだ。そう思う。
入試に悪問が出たと話題になったお蔭で名文を読むことが出来た。ちょっと感謝している。
この本は知らなかったが、小林秀雄は高校の頃から読んでいた。
読んでいると何だか自分が偉くなった気分になれる。そこが最初の魅力だった。
今回もその魅力には十分に浸ることが出来た。
まるで自分が、物の価値を分かったような気分になった。
そうした気分になったからと言って、私が急に物の価値が分かった人間になれる訳がない。ただ小林秀雄のいう事を、そのまま聞いているだけだ。
『モオツァルト』は吉田秀和というもうひとりの巨人がいたので辛うじて批判的に読む事が出来た。
だが相手が骨董だととんと分からぬ。
批判的に読む事は不可能に近い。
そもそも文章がそれ程論理的では無い。
論理的に扱える分野でも無いだろう。
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