金のかかる事は一切出来なくなった。
その為、音楽配信サーヴィスSpotifyもfreeプランで何とか凌いで来た。
だが、普段月額980円のところを3ヶ月980円でPremiumに上げられるキャンペーンが始まった。これならどうにかこうにか手を出す事が出来る。かくしてこの度Spotify Premiumに復帰する事が出来た。
相変わらず古楽ばかり聴いている。
だがその気になれば
このように友人に貸したまま返って来ないお気に入りだったCD、チャールズ・ミンガスの「ファイブ・ミンガス」もCDを買い直さなくても堪能する事が出来る。
古楽ばかりを5年間程聴いていたら、耳が古楽に慣れ切ってしまった。
この頃その「恩恵」を感じる事がある。
古楽以外の音楽は基本的にラジオかYouTubeもしくはCDで聴く。
古楽に慣れ切った耳には、これが何とも新鮮なのだ。
具体的に言えば、従来昔の音楽としか聞けなかった古典派以後のクラシックも、驚く程新鮮に聴こえる。
ハイドンやメンデルスゾーンがいかに独創的で革新的な音楽を創造したのかと言うことなどが、はっきりと感じられる様になっていたのだ。
普段ジョスカン・デ・プレやジョン・ダウランドなどを聴いている。どれも限りなく美しい。この時代の音楽さえあれば、もう新しい音楽は必要ないのではないかなどとも思えて来る。
だが、音楽家たちは歴史を刻む。
ハイドンやメンデルスゾーンは、従来なかった独創的な音楽を、確かに創造したのだ。そしてBachは、古典派以前の音楽を集大成している。増してベートーヴェンやムソグルスキーなどは音楽に確かな革命を起こしている。
それらが皮膚感覚として理解出来る耳になっていた。
さらに今迄若干苦手意識があったシューベルトも「分かる」様になっていた。ようやくシューベルトのピアノソナタのCDを、思う存分楽しめる様になった。
もうひとつ変わった事がある。
安い音楽機材しか使って来なかった。なので私は音楽の音質にさほど敏感な方ではないと思っていた。
Spotifyのfreeプランでは、最高音質が選択出来ない。今迄はそれで十分だと思って来た。だが、この程Premiumに上げたところ、自動的に設定が最高音質になり、その事がはっきりと理解出来たのだ。
音の立体感や輪郭が全く違う。
持続して体験する事は、レベルの向上に繋がる。
とりわけ苦労して努力した訳ではないが、ずっと古楽を聴いてきた為に、いつの間にか音楽に敏感な耳が養われていたと言う訳だ。
これは思っても見なかった成果だ。
しかし困った面もある。キャンペーンは3ヶ月で終わる。つまり3ヶ月後には私はまたSpotifyをfreeに戻さねばならないのだ。
果たして我慢出来るだろうか?
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