20211209

学術出版の来た道

超お勧め本。特に研究者には必読書と言えるだろう。勿論それ以外の方々にも勧めたい。


学生時代、学術出版には本当にお世話になった。特に学術論文の入手には、学術出版は欠かせない存在だった。

けれど、最近その学術出版に関して、妙な噂を耳にする事が多くなった。

本書は学術出版社と学術誌の辿ってきた歴史を見渡しつつ、現在のアカデミアの状況がなぜこうなってしまったのかが冷静に記述されている。

第4章までは学術書・学術論文の出版史が中心だが、第5章以降が出色だ。学術出版社の経営・学術誌ビジネスの変遷。オープンアクセスの光と影。インパクトファクターの功罪。学術誌包括契約(ビッグディール)。OAメガジャーナルなどの主要な問題点が網羅的に列挙されている。

こうして概要を眺めてみると、自分がいかに良い時代に研究生活をしていたのかがよく分かる。同時に私の生きた時代が、既に歴史になりつつあるのを感じて、一抹の寂しさを味わった。

長くは書きたくない。私は私の来し方を振り返りつつ、学術出版の現状をほろ苦く、しみじみと味わいっていたい。

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