20260518

3934km

フアン・カルロス・ケサダス『1934lkm国境を越えて』。

想像を絶する、過酷な運命だ。

多くのラテン・アメリカの人々が、より良い未来を求めて、合衆国を目指して過酷な旅に身を投じている。彼らは危険を承知で国境を越えた「書類のない」移民だ。


著者は述べる。

まだ九歳か十歳のイレーネをこれほどの暴力下に置くのはさすがに行き過ぎではないかと思った。そこで筆を止め、移民の子どもたちの現実がどのようなものか調べてみた。そして胸が張り裂けるような思いになった。僕が書いたもののほうほうが、むしろ控えめだったのだ。

読者は、ここを出発点に、この本を読まねばならない。

この本の主人公マリア・イレーネ・マダリアガ・マダリアガ通称ネコは、ラッキーな方なのだ。

私たちは、と言うより私は、移民の実際を殆ど知らない。そしてそれ故に時に、理不尽な差別意識を抱いて、彼らを見る。

この本に書かれている、ネコの物語を、要約することは私には出来ない。まだ少女期が始まったばかりと言える年齢の彼女らの置かれている状況は、極めて過酷で高密度な削る余地のない時間の連続なのだ。

彼女らは身の安全を期する為に、昼間、樹の上で眠り、夜歩く。彼女らが常に、追われている存在だからだ。

そしてナイフにバートという名前をつけ、肌身離さず持ち歩く。

常に警戒している事。攻撃的である事。それが彼女らの基本姿勢になる。

殆どの人から追われている様な生活。私たちにはそれを想像する生地があるだろうか?

時に、味方してくれる人も居る。彼らは「身に覚えのある」人々なのだ。

この本に、ハッピーエンドを期待する方々には、この本はお勧めしない。確かに、ラッキーにも、彼女らは数々の助けにも力を借りて、国境越えに成功する。だがそこで苦労は終わる訳ではあるまい。彼女らを待ち受けているのは、また別種類の苦難なのだ。

私たちは、彼女らを味方する側に身を置いていない。彼女らを追う側に、存在している。

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