20200518

震災画報

7日間ブックカバーチャレンジ番外3

規定の7日間+番外3日間の10日間に渡って、書影をBlog、Twitter、Facebook、Instagramで紹介して来た。

それによって人生が変えられた本。唯一無二である本を基準に取り上げて来た。

だが、このままではいつ迄経っても切りがない。そろそろケリをつける事にしよう。


神田の古本屋街で和綴じの本を購入することに憧れていた。その日のために、崩し字の読み方の勉強もしていたのだ。

しかし、それを実行したのはたった一回きり。故にこの本宮武外骨『震災画報 全』は、私が持っている唯一の和綴じの本になる。
手に入れた当時は古書でなければこれを読む事は出来なかった筈だが、2013年にちくま学術文庫から出版された時は、さすがにがっくり来た。
しかし挿画の大きさも古書の方が大きく、肌合いも違う。手元に置いておく価値は、充分にあるだろうと判断し、未だ売らずに残っている。

日本は、様々な震災を経験してきたが、関東大震災は未だに私の中で、大きなテーマとして位置づけられている。

地震としては、東京では、それ程大きなものではなかった。地震や津波の被害はむしろ熱海や横浜で 大きかった。
しかし、この震災を特徴付けるのは、地震後に発生した大火だ。

そして官民双方を巻き込んだ、流言蜚語の拡散。自警団による朝鮮人・中国人の虐殺。社会主義者の弾圧などが続いた。

それら全てを含んだ意味で、災害としての関東大震災はある。

震災直後から始められ、現在に至る様々な報道、研究により、関東大震災の全貌は、かなりの精度で明らかにされている。
しかし、その教訓が、それ以後の災害で、充分生かされたかと言うと、甚だ心許ない。

典型としての天災であり人災であった関東大震災を知る作業は、これからも続けて行くつもりだ。

それをしてゆく上で、この本は、いつ迄も色褪せない貴重な史料となってくれるだろう。

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