20200510

堆積学

#7日間ブックカバーチャレンジ2日目。

私は大学時代地質学というマイナーな学問を専攻していた。中でも更にマイナーな堆積学に夢中になった。

砂や礫、泥と言った堆積物がどの様に堆積するのかを探求することによって、過去の堆積物からそれがどの様な環境で堆積したのかを推定してゆく学問だ。謂わば過去の環境の復元。

だが、私が在籍していた大学には堆積学を体系的に教えてくれる授業もなく、殆ど独学で学ばなければならなかった。その時の私を支えてくれたのがこの本だった。
他にも参考にした本は多いが、この本ほど何度も読み返した本はない。
凄まじい情報量が体系的に詰まった本だ。

ちなみに私は外国語が苦手だ。出来れば日本語の教科書が欲しかった。だが当時、それは夢のまた夢。専門的な知識は洋書を読んで手に入れるしかなかった。

がむしゃらになって読んだ。

読んでは、その成果を確かめにフィールドに駆け出して行った。

私の堆積学の知識の殆どはこの本から得たものだ。それだけに思い出深い本になった。その意味で、この本は私を形作っている本だと言って良い。

今でも時々、この本に目を通す。その度に、真剣に学問に挑んでいた自分を思い出し、今の自分の姿を反省する。私は今のこの時を、真剣に生きているのかと。

異端で派手なニセ科学が幅を利かす現代だが、正統的な学問を正攻法で修めて行く事程、面白いことはないと、断言出来る。

娯楽の極まったものが学問だと思うのだ。

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