随分間が空いた。
23日朝から鬱状態に突入し、しかも24日は前から期待し続けていた「渋さ知らズ 大オーケストラ in 松本」。このバンドは結成時から関ってきた。非常に思い入れがあり、ここでしか会えない方々との再会も出来たら…と期待していた。
再会以上の、期待以上のかかわりを持つ事が出来た。嬉しくてたまらない。
勿論、それらの個人的な関わりが無くともこの集団は画期的だ。舞台美術が素晴しく、ダンサー、舞踏、絵描きの即興パフォーマンスと、総合芸術と呼ぶに相応しい舞台を繰り広げてくれる。
わたしたちは縮めて「渋さ」と呼ぶ。
不安定な精神状態のままだったが、渋さはそのエネルギーでとりあえず鬱状態を吹き飛ばしてくれた。ありがたい。
ところが今度は呆けている。困ったので、mixiに載せた日記を殆どそのまま転載すると言う、自分に対しての禁じ手を使ってしまおうかと思っている。
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満身創痍だ。
捻挫した左足首を筆頭として、体中が打ち身、筋肉痛で痛い。翌日になって気付いた打ち所もあった。これが歳というものなのか。
松本に行ってきた。
24日、『渋さ知らズ オーケストラ』という「何が何だか分からない」素晴しいバンドのライブが松本であった。このバンドは発生初期からバンドという形態を越えていた。その越え方がさらに尋常ではないものとなっていた。嬉しかった。
席は左端。だが、前から6列目というのは名ばかりのことで、前には席は無く、立つも坐るも踊るも自由自在。…やや舞台全容が見渡せないのが残念だったが…。しかし、ベースが、ドラムスがまるで自分の心臓の音のように体中に血を送り込む。この場所は、わたしの好みの場所だ。
演奏が(客席後方から)始まるや否や、身体は席を離れていた。
ところが身体が思うように(若い頃のように)動かない。激しく踊る事は諦めた。
あまりの人気に大人数の「…オーケストラ」に行かなくなってから、何年経っただろう?「…チビズ」と呼ばれる小編成の渋さ知らズや、バンドに参加しているそれぞれの演奏を聴きに行ったりしていた。実力者揃いなのでそれでも充分満足できる。
だが、今回「大オーケストラ」に行って、バンドのメンバーはかなり変わったが、渋さはやはり渋さだ。と再確認できたのが個人的にはいちばん嬉しかった事だった。
バンドだが、聴きに行ったとはあまり書きたくない。あの舞台を観に行ったのだ。現場に身を晒したかった。
北信濃に住むようになり、このようなバンドに接する機会が激減した。皆無と言っても良い。
ただ、昔の仲間たちのサイトに「そのうちに観に行くからねー」などと書き、主にお金の無さから果たせずにいたのだった。渋さが向こうから信州にやって来る。ならば、行くしかあるまい。
渋さが松本に来る事を知ったのはかなり遅かったように思う。東京感覚で、もうダメだろう…と諦めていたのだったが、女房殿がどこからかこの情報を嗅ぎ付け、遅いだろうが、とりあえず試してみようとチケット購入したら、意外と良い席が取れた。
楽しみにしていたのだが、23日、急に激しい鬱状態に取り付かれ、これは充分楽しめないかも知れないと不安を抱えたまま、松本へ。
結果。充分に楽しめた。
前で、音ばかり堪能しているのも勿体無いと思い、席を離れ(尤も、坐っていた事など殆ど無かったのだが)いちばん後に行く。
美しい!照明が、舞踏が、セクシーに踊るダンサーが、背後に音楽と同時に描かれてゆく絵画が映像が渾然一体となって、傍若無人に(褒め言葉)展開され、あまりにも美しい舞台となっていた。
見惚れて、階段を降りてくる途中で、激しく転倒し、足首を捻挫し、膝を強打した。
大人しくしていようと、いちど坐る。「ひこうき」。気が付いたら立ち上がっていた。石川啄木の詩に曲を付けたものだ。
そうして大団円に向かう。やはり身体は踊りだしていた。曲は「本田工務店のテーマ」に移る。フザケた題名だが、この曲はわたしたちの、そして渋さの象徴ともなっている。後から踊りに来る人が沢山いた。やはり(少なすぎるけど)渋さはこうでなければ。
と、感慨に浸っていると、バンマスと言うより、ダンドリスト(いろんな段取りをする人という意味で、渋さではこのように呼ぶ)の不破さんがわたしを見付け、あろう事かステージに上げてくれた。ステージに上がったからには今迄のようなヘロヘロダンスではあかんだろう。
歳を考えつつ、16ビートで踊る事は諦め、4ビートで何とか身体を動かす。気持ちが良い。
何だかんだ言ってもステージの上は気持ちが良い!この場所が、或いはステージの袖がわたしは好きなのだ。
だが、もう戻れないだろうと諦めていただけに、いっときでもそこにまたたつことが出来たのは嬉しくて堪らなかった。
楽器も何も持っていないので、「本田工務店」が終わって、すぐに銭湯の湯船からあがるように恥ずかしげに(もう少し格好付けられなかったのかー!)舞台を去る。
それにしても不破さんと握手し、抱き合えたのは嬉しさで一杯だったが、ダンサーのペロさんと抱き合った時には、客席から明確な殺気を感じた。その後は身の危険を感じて、こそこそと行動する。
楽屋入り口から許可を得て、楽屋に侵入。
この楽屋の雰囲気も好きなのだ。
何人も長い間ご無沙汰の限りを尽くしてきた人たちと会う。まるで、昨日会ったばかりのように、当たり前に迎えてくれた。嬉しかった。
腹を括り、遊びの世界に生きている彼らは、やはり凄い。
彼らには素晴しく良いセンスがあり、しかも努力家で、何よりその世界に棲み続けている。
わたしはこれらのどれも持っていない。
さて、何をして生きて行こうかね。もうわたしは50の坂を越えた。
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今日も(昨日より雲量は多かったが)晴れ渡った良い天気だった。この気候がどれだけ続いてくれるだろう。今週中には崩れそうだ。
台風は、フィリピンで被害を出し続けて、まだそこにいる。西に進路を取り、ゆっくりと進んでいるが、偏西風にぶつかっている。恐らく、中国大陸に上陸する振りをして、急に方向を変えるに違いない。
極めて稀な、好天がこの渋さ知らズのライブと重なってくれた事に大きな感謝を感じざるを得ない。
思いもかけない時期に雪で閉ざされた黒姫から、鳥の報せが届く。黒姫も暖かないちにちであったようだ。また、いつもの生活に戻ろうと思わされた。この暖かさが暫く続いてくれることを祈る。
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