楽しい読書をした。
まず、表紙が気に入った。表題のレタリングと漫画が一体になっている。ユニークで楽しい表紙だ。
この本は、数ある宮沢賢治の童話の中から、特に面白いオノマトペを集め、それを纏めたものだ。
それぞれのオノマトペはフリーハンドでレタリングされ、1ページ丸ごと使って表示されている。それだけで、そのオノマトペを音読したい衝動に駆られる。
それが右ページ。
左ページにはそのオノマトペがどのようなシチュエーションで使われているかを、短い引用で示してあり、その解説が、これまた短い文章で付せられている。
宮沢賢治が使ったオノマトペに注目する事で、賢治の童話をより深く、重層的に楽しむ事が出来る仕組みになっているという訳だ。
宮沢賢治が使っているオノマトペは、意表を突くものが多く、独特な味わいをその童話にもたらしている。今までも、それに注目して来たが、それを集めるには数が多過ぎ、諦めていた。
それだけに、丁寧に厳選したこの本の登場は、嬉しいものになった。
改めて、宮沢賢治のオノマトペから、童話を読んでみると、慣れ親しんだ賢治の童話が、また独自の味わいで、立ち現れて来るのを感じた。
宮沢賢治にとって、彼が選び用いたオノマトペは、その童話の命とも言える、重要な役割を果たしていた事を、心を新たにして感じ取る事が出来たと思う。
解説の中には、同じオノマトペが、別の童話のどの様な局面で用いられているかを紹介してあるものも多く、それぞれが、独特な表現になっている事を知る事が出来た。これも編者の有り難い配慮だと感じた。
この本は、宮沢賢治のオノマトペを集めたものだが、それだけに留まらず、独自の新しい、宮沢賢治の作品集になっている。
これから先、宮沢賢治の作品を読む時に、この本で味わった読書体験は、貴重な新しい視点を提供してくれるだろう。
楽しみだ。

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