お昼少し前に出発したのだが、予想外に道路が空いているではないか。
今日はもしかすると狙い目かも知れないと思い、戸隠に向かうことにした。
パワースポットということもあり、吉永小百合さんが宣伝してくれもしたので、戸隠は大層なブームになってしまった。
シーズンには竹下通り並みの人混みと聞いて、恐れを成して近付かないようにしていた。
ここで先ず早いお昼を食べる。
以前は良く通っていた大久保の茶屋だ。
何年ぶりなのだろうか?
ここの蕎麦は少し固茹でだが、私は好きだ。噛みしめると独得の風味が口いっぱいに拡がる。
市内にもチェーン店があるが、そこの蕎麦ははっきり言って不味い。
水が違うのだと言うことがはっきり分かる。本店の蕎麦は冷たく綺麗な戸隠の水で打ってあるのでとても美味しい。
軒下にはリス用なのだろうか?ヒマワリの種が一杯入った容器が置かれていたが、そこに餌を食べに来るのは鳥ばかりだった。
庭を見ると、もうトガクシショウマが咲いていた。
特大というのもあったが、ちょっと遠慮し、ざる蕎麦の大盛りと山菜天ぷらを頂く。
蕎麦の味に変化はない。…と思う。
天ぷらは前より美味しくなったと思った。
典型的な田舎蕎麦である。
蕎麦は太く、そして硬い。信州流の唐辛子を掛けて食べる食べ方より、江戸っぽくワサビで食べた方が、この麺には合うように思えた。
店内も思ったより空いていた。余裕で窓際の席を確保できた。
さて、どうしよう。ここまで空いていると、行ってみたくなるでは無いか。
そう、恐れを成していた戸隠奥社へ!いよいよ向かうことに決めた。
やはり思ったより人出は多くない。
以前だと、少し待てば全く人気の無い戸隠を堪能出来た。
もうそれは無理だろう。
遠くまで見ると、かなりの数の人が来ている。
だが、「竹下通り」ではない。
蕎麦も食べたことだし、腹ごなしを兼ねて奥社まで行こうという話になった。
空は薄曇り、暑くもなく寒くもない、丁度良い陽気だ。これを逃すともう戸隠に来ることが出来なくなるかも知れないではないか。
興味もあったのだ。
人出がさほどではなかった頃、随神門の屋根には樹が生えていた。
あのまま放っておくと、随神門は壊れるのではないか?
そのように危惧していた。
有数の観光地になって、随神門は少しは手入れされたのだろうか?
少し歩くと随神門が見えてきた。
いや、あの樹が生えた風情もなかなか(おどろおどろしくて)良かったのだが。
南から随神門を見る。
こちらからは大丈夫だったのだ。
だが、大きく感じた。これ程立派な門だったろうか?
北側からの随神門。
門をくぐり、すぐに屋根を見た。
おぉ!きれいになっている。
以前はこちらから見ると、この屋根の上に1〜2mの樹が何本も生えていた。
それがきれいさっぱり刈り取られている。
さすがだ。
Webなどで調べると、この随神門は戸隠の中でも随一のパワーがあるスポットだと言う。そんなものは全く感じなかったが、この門が様々な意味で境界になっている事は確かだと思う。
何よりも、並木を作る杉の密度が全く違う。
戸隠の杉並木は随神門から始まると言って良い。
子どもの頃、戸隠に連れてきて貰って、随神門をくぐった時の驚きは今でも覚えている。
一種の衝撃だった。
その衝撃は今でも感じることが出来る。
子どもの頃より杉も太くなっている筈だ。並木の迫力も増しているだろう。
ここの杉並木は地元だから贔屓目に見ている訳ではなく、見事なものだと思う。一見の価値は確かにある。
妙に人気がないのは、参道にうっすらと水が流れているからだ。それを避けて、皆杉の根元を歩いている。
これでは杉の根元が硬く締まってしまうではないか!と気が気では無かった。
水が流れているのを見て、雪解け水だと思っていたのだが、少し進むと参道にも積雪が残っていた。
あぁ、そうだよなぁ。と思ったのだ。
これも子どもの頃、連休中にも戸隠には雪が残っているのだと驚いた記憶がある。
しかも今年は4月21日に記録的な積雪があった。
恐らくその名残だろう。
水はこの残雪から流れ出していた。これも随神門を境界として起こっている出来事だった。
最初は珍しかった残雪もすぐに方々に見られるものになった。道の脇にはこの通り。
不思議なもので、最初は随神門だけ見て戻ろうと思っていても、いざ辿り着いてみると、それより先にどうしても行ってみたくなる。
例え、そこから先は勾配が急になると分かっていてももう止められない。
ぜえぜえ言いながらいつも撮る参道脇のお地蔵さんの所まで来た。ここまで来ればもう奥社はすぐそこだ。
最後の階段を登る。
私も随分歳を取ってしまったが、戸隠に来ていつも驚くのは、奥社まで来るお年寄りが多いことだ。
かなりきついだろうに。
このように思うのは、私自身がかなり限界を感じているからだ。
奥社まで来るのはもう最後かな?
しばしばそう思う。今回もそう思った。
戸隠山に登る人たちは、ここが事実上の出発点だ。元気だなぁと心から思う。
思いがけず奥社まで来てしまった。
奥社に行列が出来ているのを初めて見た。
改めて人気が出たのだなぁと感じる。
さて下山。地質屋は下りが早いのだ。
吉永小百合さんの杉の洞穴も素通り。
ここは未だに人気スポットになっている。
だが、さすがに入る人はいない。
意外に小さいのには少し驚いた。
ひと言も断らずに余りに早く下ったので女房殿からクレームが付いた。
一緒に来ている気がしないとの事。
済まぬ!これが私のペースなのだ。
戸隠奥社の次に向かったのが、近くにある神告げ温泉。
凄い名称だ。パワースポット戸隠の近くにこのような名称の温泉があると言うことを今日まで知らずに居た。
由来は何だろう?と、やはり気になるではないか。
探してもそれらしいパンフもない。
仕方が無いのでお店の人に訊いてみた。
「社長が東の方を掘れば、温泉が出るという夢を見たんです。」
社長?…生きていらっしゃるんですよね?
「お祖父さんも見たそうです」
意外と新しい由来だった。
さて、いよいよソフトクリームだ!
カーナビに黒姫コスモス園と入力しても該当なしと出る。
仕方が無いので、黒姫童話館と入力すると出た。
思いも掛けない道を紹介された。
その挙げ句、コスモス園には行かず、直接童話館に着いてしまった。
童話館にはコスモス園からバスに乗るか、歩くかしなければ辿り着けないと思っていた。
こちら側からの童話館を見るのも今回が初めてだった。
人気がなく、やっているのかと一瞬危ぶんだが扉は開いた。やっていた。
だが、ここで意外な情報を得た。
コスモス園は15時30分までしかやっていないという。
もう過ぎているでは無いか!
ソフトクリームならば、ICの近くの道の駅しなので同じものが食べられるという。
そこならば夕方まで大丈夫だろう。
童話館でいつもの展示を見る。
エンデ館の入り口は鏡張りになっている。
ちょっとした目眩感を感じることが出来る。
いかにもファンタジーのエンデの館だ。
いつも同じ展示なのだが、私はいつも童話館を愉しんでいる。
いつでも何度でも新鮮なのだ。
今回は桜井誠の絵に感動した。この人の絵に私たちは育てられたのだ。『長靴下のピッピ』や『幸福な王子』の絵は懐かしく、それだけではなく、構図も大胆で良い絵だった。
今日は紙芝居の日。
お客さんもいないので、勉強会のようなものをやっていたが、私たちが顔を出すと、ひと作品読んで下さった。
紙芝居も良いものだ。
さて、今度こそソフトクリームだ!
道の駅へ行く。
だがそこで!待ち受けていたのは!!
がーん!!!
今日の行楽は、戸隠や温泉は単なる前座であって、更に黒姫童話館はついでであって、主目的はあくまでもソフトクリームにあったのだ!
駄目!とは…。
く、黒姫のソフトクリーム!!!
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