15年程前から、本格的に探し始めた。
それ迄も気になる歌だったが、それ程真面目に探してはいなかったのだ。
だが、いくら検索を重ねても、全くヒットしなかった。それもその筈だ。検索語が間違っていたのだ。『みんなの歌』でダーク・ダックスが歌っていた。そんな事を混ぜてもみた。駄目だった。
一昨日、なんという事なしに、検索語を変えてみた。すると、
あるわあるわ、一旦見つかり始めるとこれ程になるのかと思う程、次から次へと探していた歌に関する情報が引っ掛かって来た。
歌の題名は『トム・ピリビ』。どうやら元はシャンソンだった事も分かって来た。そして、何とこの歌は1960年の第5回ユーロヴィジョン・ソング・コンテストの優勝曲でもある。
みんなの歌名曲100選にも含まれているらしい。更には作曲者、作詞者、訳詞者なども分かって来た。
ダーク・ダックスが歌っているヴァージョンは、本歌にかなり忠実に訳されているが、肝心のオチが訳されていない。ダーク・ダックス自身が訳した様だ。『みんなの歌』なので、教育的配慮がなされたのかも知れない。
そう、日本では『トム・ピリビ』はあくまでも子どもの歌だったのだ。
だがシャンソンではそうではないらしい。
元唄の詞も見つかったので載せておく。作詞者はPierre Cour(ピエール・クール)。作曲者はAndré Popp(アンドレ・ポップ)。この作曲者は『恋はみずいろ(L’amour est blue)』の作者としても有名だ。歌っているのはJaqueline Boyer(ジャクリーヌ・ボアイエ)。Lucienne Boyer(リシエンヌ・ボアイエ)の娘だ。
Tom pillibi
Tom Pillibi a deux châteaux
Le premier en Écosse
Tom Pillibi a deux châteaux
L´autre au Montenegro
Il a aussi deux grands vaisseaux
Qui vont au bout du monde
Chercher des ors et des coraux
Et les plus beaux joyaux
Il a d´la chance, Tom Pillibi
Et moi je pense que je suis son amie
Il est si riche que je l´envie
Il est si riche
Sacré Tom Pillibi
Tom Pillibi a deux secrets
Qu´il ne livre à personne
Tom Pillibi a deux secrets
Moi seule, je les connais
La fille du roi lui sourit
Et l´attend dans sa chambre
La fille du roi lui sourit
Et la bergère aussi
Il a d´la chance, Tom Pillibi
Et moi je pense que je suis son amie
Quelle bonne étoile veille sur lui?
Quelle bonne étoile?
Sacré Tom Pillibi
Tom Pillibi n´a qu´un défaut
Le mal n´est pas bien grave
Tom Pillibi n´a qu´un défaut
Le mal n´est pas bien gros
Il est charmant, il a bon cœur
Il est plein de vaillance
Il est charmant, il a bon cœur
Mais il est si menteur
Que rien n´existe de tout cela
Mais je m´en fiche quand je suis dans ses bras
Car je suis reine de grand pays
Où il m´entraîne
Sacré Tom Pillibi
トム・ピリビはお城を二つ持ってる
一つ目はスコットランドに
トム・ピリビは二つのお城を持ってる
もう一つはモンテネグロに
彼はまた大きなお船を二つ持ってる
それは世界の果てまで行くの
黄金や珊瑚を
そして一番きれいな宝石を探しにね
運がいいのよ、トム・ピリビは
そしてわたしはね彼の彼女のつもりよ
彼はうらやましいくらいのお金持ち
とってもお金持ちなの
とんでもないトム・ピリビ
トム・ピリビには秘密が二つあって
それを誰にも打ち明けないのよ
トム・ピリビには秘密が二つあって
わたしだけがね、それを知ってるの
王様の娘が彼に微笑みかけ
彼を寝室で待ってるのよ
王様の娘が彼に微笑みかけ
羊飼いの娘もそうするの
運がいいのよ、トム・ピリビは
そしてわたしはね彼の恋人のつもりよ
どんな幸運の星が彼を見守っているのかしら?
どんな幸運の星が?
とんでもないトム・ピリビ
トム・ピリビには欠点が一つしかない
たいしたことじゃないのよ
トム・ピリビには欠点が一つしかない
大きなことじゃないのよ
彼はチャーミングで、いい人よ
とっても勇気があるわ
彼はチャーミングで、いい人よ
でもねとってもホラ吹きで
ぜんぶ本当のことじゃないのよ
だけど彼の腕に抱かれているときには気にならないわ
だってわたしは大きな国の女王ですもの
そこに彼はわたしを連れて行ってくれるのよ
とんでもないトム・ピリビ
元唄の”Tom Pillibi”は、彼が好きな女性の視点から、彼がつくホラ(嘘)も許してしまう、盲目的な恋心が描写されている。れっきとしたオトナの歌なのだ。
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