何かと気を遣う。毎月ある定例清掃も厄介だが、日常的に、出来るだけ音を立てないように暮らすのも、ストレスフルだ。
高校の時の話だが、私はそれなりにギターが巧かったと思う。普通に弾くだけでは物足りなくなり、ブルースギターに手を出し、ピアノ曲をギターに移植して弾いていたりもしていたので、かなりのものだったのではないかと自負している。
けれど高3になり、大学入試が立ち塞がった。
毎日のように弾いていたギターを中断し、大学に合格するまで弾かなかった。
案の定、ギターの腕前は目を蔽うばかりに落ちてしまっていた。
弾き始めの頃は、基本的な練習も真面目にこなすものだ。だが、一旦弾けるようになっていた私は、下手になっていたにもかかわらず、基礎に戻ることをしなかった。
高校の頃のレベルに戻ることは、二度となかった。
先日、前から気になっていた、曲名の分からない曲を、鼻歌検索で見付けようと思い立った。
口笛で、その曲を吹こうとして、驚いた。口笛が鳴らないのだ。掠れた音は何とか出る。けれどきちんとした音にならない。
考えてみると、大学時代、下宿生活をし始めた頃から、私は周囲に気を遣って、口笛を吹くことを止めていた。
口笛なんぞ、小学生でも吹ける。それが鳴らないのだ。
何事も、練習していないと技量は瞬く間に落ちてしまう。
かなりショックだった。
団地に引っ越してから、一回もギターを弾いていない。
大学入試で弾かなかったのは、3年もなかった。
丸3年、ギターを弾いていないのだ。
これはちょっとした恐怖だ。
恐らく確実に、ギターは下手になっているだろう。
アルペジオは弾けるのだろうか?