20250108

山とも庵が!

本郷駅の近くにあるその店を、私たち夫婦は大変贔屓にしていた。

何か事あると、またはなくても、その店が提供する美味しい蕎麦を食べに、足繁く通っていた。

予感はあったのだ。女房殿が車でその店の前を通り掛かっても、店が開いていないと言う様になったのだ。

今日(25年1月8日)確かめてみようと、その店の公式サイトを開いてみた。

すると12月5日付けの記事として、

10月末日を以て閉店しました。という報せを受け取った。

その店の名は山とも庵という。このブログでも取り上げた事があったと思う。


写真は山とも庵公式サイトから借用した。クリックで拡大出来る。

その店で、蕎麦を大根おろしの汁だけを付けて食べる食べ方も教わった。偶に食べる胡桃だれ蕎麦は絶品だった。

最近は弱点だった天ぷらも美味しくなり、この先も山とも庵と共に、この地で生きてゆくのだろうと、なんの不安もなく思っていた。

あの美味しい蕎麦をもう二度と食べられないのかと思うと、胸を掻きむしりたくなるような、残念さを覚える。

初期の頃は天せいろ蕎麦を頼むのが常だった。本山葵を小さなおろし金で擦って食べる趣向を凝らした蕎麦だった。それがメニューから消えても、暫くの間(かなり長い間だった)は、頼むとそれを出してくれた。

蕎麦好きの友に食べさせたくて、山とも庵の蕎麦を、九州博多に迄届けてもらったこともあった。

心残りは、きのこソムリエの資格を持つ女将さんが作るきのこ蕎麦を、遂に一回も食べる事がなかった事だ。

COVID-19は、地域経済に、消え様のない傷跡を残した。

昨年は戸隠そばの代表的存在だった大久保西の茶屋も潰れた。

食品関連の店は、個人事業主を中心に、壊滅状態だ。後に残るのは、それ程美味しくもないチェーン店ばかりだ。

中でも、この山とも庵の閉店は、大きなショックを私に与えた。知った時は頭がクラクラした。

55年に渡って、この地に根付いていた名店が消えるのだ。

それ程外食をする方ではない。するとしたら店はとことん選ばせて頂く。だが、その選んだ店がどんどんなくなってゆく。新年早々、寂しい報せを聞いた。