凄いライブを聴いた。というより観た。と言ってもYouTubeでの話だ。
先日亡くなったChick Coreaの代表作とも言える”Return To Forever”を聴きたくなって、YouTubeで検索してみた。網に掛かって来たのがこれ。
キーボードは当然Chick Corea。ギターにAl Di Meola、ベースStanley Clarke、ドラムスLenny Whiteという実力者を揃えたレギュラーカルテットでの2008年の演奏だ。
まずはその演奏の桁外れの巧さに改めて驚いた。難しいフレーズも、いとも簡単にこなしてしまうテクニックの確かさに舌を巻いた。
余りフュージョンを聞かない。どこか中途半端な音楽に思えて、今ひとつ乗り気になれないからだ。だがChick Coreaは違う。フュージョンの創始者のひとりに数えられるが、その音楽性の高さには定評がある。聴いてみても、十分に鑑賞に値する。
演奏もただ速くて巧いだけではない。その速さには必然性があり、高い音楽性に裏打ちされている。
カルテットでの演奏の後に、中間部でそれぞれのソロが行われるが、演奏者はひとりで丸裸にされても、十分場を作って行くだけの演奏を繰り広げる。楽器で各々の世界観を存分に展開するのだ。
そして、その演奏がひとつになった時、シンクロと響き合いは見事な調和を見せる。
音楽を聴く度に、その世界の広大さに慄きに似た感動を覚える。普段古いクラシックばかり(それだけでも十分世界は広い)聴いている私も、この演奏に触れて、また新たな音楽の世界を発見する事が出来るのだ。
良い音楽を聴けた。私はかなり幸福な気分だ。