20130605

White Elephant 6.4

昨日(6月4日)玉井夕海さんのライブがまつもと市民芸術館であった。

玉井夕海さんはこの1年長野の松本に住み。拠点として活動することによって自身の音楽を見つめ直してきた。
今回のライブは、その集大成として、今迄個人で活動することが多かった彼女が、チェロの坂本弘通さん、人形使いの北井あけみさん、人類学者で今回は映像を担当した分藤大翼さん等の仲間達と繰り広げるものだった。
彼女のライブはいつも、入り口が地味なので驚かされる。
会場のまつもと市民芸術館はいつ来ても立派な施設だと感心させられる。
階段部分には動く歩道まで設置されている。

ライブが行われたのは、
ここ、小ホール。

撮影禁止だったので本番中の写真はない。
残念だ。とても美しかったのだ。

ランプが灯されているだけの、殆ど真っ暗な中でのライブだった。

観ている私には、とても純粋なものを目撃しているのだという意識だけがあった。
アクアマリンの結晶のようなライブだった。深さと透明感がそこにあった。

その中に、玉井夕海さんの真っ直ぐな歌声が響いていた。

始まりと終わり付近で、ちょっとした文章が読み上げられたが、あれは何が原典だったのだろうか?とても良い文章だった。

途中、幾つかのアクシデントがあったが、玉井夕海さんはそれを逆にお芝居に転化させて対応していた。
この辺りに舞台人としての彼女の凄みを感じた。


ライブが終わった後(ライブの最後でないと信じたい。あの結晶のようなライブを傷付けたくない)皆で玉井さんの唄『葡萄畑の真ん中で』を歌った。
撮影はいしまるあきこさん。
舞台に上がったお客さんも当然そうなのだが、上がらなかった皆様もとても良く練習してこられたようだ。皆、自信たっぷりに歌い上げておられた。


玉井夕海さんが松本を去る日も近い。
彼女はここで何を掴んだのだろうか?そして、それは今後の彼女の活動に、どの様なさざ波を立ててゆくのだろうか?


彼女が長野に残して行くものを、私はそっと引き出しの中に入れて、大切にしていたいと感じさせられた。
美しいものを、彼女は残して下さった。

長野から去った後も、私の部屋では、その美しいものが何度も奏でられ、唄い続けられるだろう。


良いライブだった。

2 件のコメント:

玉井一匡 さんのコメント...

いずれ本人がコメントを書くことでしょうが
ワンポイントリリーフのつもりでコメントを書きます。
「ちょっとした文章」は
サンテクジュペリの「人間の土地」の、おそらく序文だったと思います。
彼が、さいごまで飛行機乗りであり続けたのは
あんな風に、世界を感じつづけたいと思っていたからなのでしょうね

「人間の土地」の新潮文庫版は
表紙カバーの絵に加え、解説も宮崎駿さんが書いていらっしゃるそうです。
ぼくも、何十年も前に読んだきりなので
本屋に行って買ってこようと思います。

IKEDA Yutaka さんのコメント...

ありがとうございます。

Facebookの方でご本人から紹介がありました。

「アルゼンチンにおける自分の最初の夜間飛行…」の部分でサン=テグジュペリかな?と思ったのですが、私はマイナーな方から探し始めてしまい、『闘う操縦士』と『南方郵便機』を先に読んでおりました。

ご紹介の宮崎駿さんが表紙を書いている堀口大学訳の『人間の土地』は持っております。

これでした。

改めて、サン=テグジュペリという作家の言語感覚の鋭さに圧倒されました。