SpotifyにもiTunesにもCristina y Hugoは登録されていない。なので今持っているベスト盤とYouTubeでしか彼らの音楽を聴くことは出来ない。
良くCDを買っておいたものだと自分を褒めたいと思う。
クリスティーナ・アイーダ・アンプロシオとマルティン・ウーゴ・ロペスの夫婦によるデュオだ。
彼らの音楽を特徴付けるのは、何と言ってもクリスティーナの圧倒的なソプラノだろう。
高校生の頃見たNHKの番組の中で、クリスティーナのスキャットは、ケーナを模倣したものだと字幕が出ていたのを覚えている。
ケーナのタンギングをクリスティーナは腹筋のみで再現している。これは他の追随を許さないものだ。余程鍛錬して鍛え上げた腹筋でなければとても不可能な切れを表現している。
とは言え、他のソプラノ歌手のように普段から咽を気にして生活していた訳ではなく、大声で笑い、話し、酒好きのウーゴに付き合って、ワインを飲み明かすことは日常茶飯事だったと言う。
ウーゴはそんなクリスティーナをギターで、ハーモニーで、そして唄の合間の詩の朗読(レシタード)で支え、息の合った演奏を繰り広げている。
1972年NHKの「世界の音楽」という番組で、アメリカの大きなジャズバンドの来日が急に中止となり、他のもので穴埋めをしなければならなくなった。折からのフォルクローレ・ブームに注目していた若いディレクターがおり、来日中のまだ無名だった夫婦デュオ、クリスティーナとウーゴに仕事を依頼することになったという。ジャズバンドの為に用意してあった莫大な制作費をそのままつぎ込み、番組は収録された。1973年2月14日、番組が放送されるとNHKには問い合わせの電話と手紙が殺到した。
日本でレコード会社が挙ってフォルクローレ作品を発売し始め、本格的なフォルクローレ・ブームと騒がれるようになった。
だが1986年6月5日午後10時、クリスティーナとウーゴは友人宅からの帰り道、小雨に濡れた道路にハンドルをとられ、ふたりの乗った日本車はバスに正面衝突。ふたりとも帰らぬ人となった。この時クリスティーナ35歳、ウーゴ52歳だった。
日本で最も多くのファンを抱え、最も多くのレコードを売ったフォルクローレ・アーチストだった。
幸いにも、YouTubeで検索すると、かなり多くの曲がヒットする。
中にはクリスティーナが歌うAve Mariaというレア音源↑もある。
皆様にも是非、彼らの音楽を堪能して貰いたい。