多分翻訳され、話題作になるだろう。だが、私はこのドイツ語の題名で、この表紙で読みたかった。
"Er ist wieder da"
そのまま英訳すれば"He is here again"ということになるのだろう。
和訳される時はどの様な題名が付けられるのだろうか?『ヒトラーの復活』ではひねりがなさ過ぎる。と言うより、原題のニュアンスが伝わらない。
突然、何の前触れもなくヒトラーが現代に復活する。
それがこの物語の始まりだ。だから前述の様な題名が付けられる予感がある。避けて貰いたい。
それにしても、彼はかつて何故あれ程愛されたのだろうか?
ともあれ「彼」は聡明だ。2011年の8月30日に忽然と復活した彼、ヒトラーは忽ち現代に適応して行く。Emailを操りケータイ、Webを使いこなすようになるのにそれ程時間は掛からなかった。
勘違いが複雑に絡み合い、彼はテレビスターになってゆく。
コメディアン。それが彼が新に与えられた職業名だった。だが、彼は70年前の主張をそのまま繰り返しているに過ぎない。
彼に備わった「感じの良さ」が笑いを誘う。
何と言う恐るべき「勘違い」!
現代の矛盾に対する的確な指摘もコメディーとして受け容れられ、むしろ現代人は彼ヒトラーに強く惹き付けられて行く。
このような「彼」の描き方が、現代のドイツで許されるとは思わなかった。それが正直な感想だ。もっとドイツは深刻に過去を懺悔していたのではないか?
作者は、「愛された」魅力的なヒトラーを描こうとしているのだ。戯画化された怪物ヒトラーでは、過去の熱狂は説明出来ない。
しかし、それが余りに成功している為、読者は笑いながらも、ヒトラーの主張に頷いている自分を見いだし驚愕するだろう。
安倍内閣が支持率70%を超えた。
日本人はどこへ行こうとしているのだろうか?
その日本人はこの本が翻訳された時、どの様な感慨を持つのだろうか?
慎重な翻訳が期待される。
20130213
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