正直に告白する。題名を見て、舐めていた。
図書館でこの本に実際に出逢い、まずその厚さに驚いた。
当初、もっと薄い本を想像していた。だがこの本は470ページもあるのだ。
だが、まだ題名に拘泥していた。また、この内容なのかと。
猫は人間に対して接する中で、そのニャアという鳴き方を学習した。
それは本だけでなく、TVやネットでも取り上げられている内容だ。
ところが読んでみると著者の探究はそこでは終わっていなかった。
おしゃべりで有名なあの猫は本当に猫に対してニャアとは鳴かないのか?原種のアフリカヤマネコは?
こうした掘り下げにより、今わかっている事とわかっていない事のディティールが明らかになって行く。
そこがこの本が幾多の「ネコ本」とは一味違う大きな魅力を形作っている。
その探究力と知識の深さには舌を巻いた。
扱われている内容も、猫の鳴き方だけに留まらず、その他の猫の行動について、イエネコの起源についてなどついてなど途方もなく幅広い。
それらの話題を著者は決して衒学的に語らず、分かり易い言葉を選んで、語っている。
その為読者はその内容をバックグラウンドの知識を持っていなくても、理解し、楽しむ事が出来る。
著者のジョナサン・B・ロソスと言えばトカゲで有名な進化生物学者だった筈だ。
それがなぜ猫なのだろうか?
その答えは冒頭で明かされる。
猫が好きなのだ。
猫好きが猫好きに対して猫について語る。留まるところを知らない内容になるのも宜なるかなである。
それはそれで楽しい。
楽しんでいるうちに、私たちは猫について、従来の認識を変える事が出来る。
それがこの本の最大の魅力である。
この本を読み終えると、今迄の数倍猫好きが昂じている自分を発見するだろう。
そして、猫を通して、他の様々な事についても、新たな発見がある筈だ。
この本はだから、世界の見方を変える本であるとも言える。
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