20211016

「人権」がわからない政治家たち

至る所で意見の不一致を見た。世間の評判通り、右派の論客と見て間違いはないだろう。

だが、安倍主導の憲法改悪には、正面から反対の立場を取っている。右派からも弾劾される安倍及びその継承者とは、いかなる権力だったのか(であるのか)がよく分かる。


はじめににある通り、本書は体系立てて論考を重ねたものではなく、『日刊ゲンダイ』に自由に書いたコラムをまとめて加筆したものだ。その分、筆者の考えが前面に出ていると言えるだろう。

私の思いは、野党の支持者だけでなく、真の「保守」を自認する人にこそ問題に気づいてほしいということである。

とあるように、筆者と立場を同じくする保守派に宛てた本なのだろう。

筆者は自民党の改憲論を無知と矛盾の産物であるとし、基本的人権と国民主権を破壊する政治であると批判している。この批判には全面的に賛同する。

一部の自民党議員の中には、大日本帝国憲法を以て理想とする勢力があるが、自民党が掲げる「憲法改正案」などを読むと、その勢力の影響が隠し難く現れていると感じる。

筆者はまた、憲法は身近な存在であり、憲法問題はわれわれの日常生活のどこにでもあると論じる。例えば大相撲は女人禁制であるが、これは憲法14条で「すべての国民は法の下に平等で性別により社会的関係において差別されない」と規定している事から、憲法違反であり、無効な習慣であると主張する。

特に日本相撲協会が「公益財団法人」である点を重視し、相撲協会は国家権力機関に準ずる法的存在である。だから憲法の明文に違反する習慣律を保持して、女人禁制を保っていることはウヤムヤにして済まされる問題ではないとする。

ここ数年起きた、様々な事件に関して、筆者は憲法を軸に、持論を述べている。そして、現在の自民党政権は保守でもないと切って捨てる。

それに対し、野党勢力や国民はどうすればいいのか。それに対しても答えを準備している。それは共産党を含め、全野党が結束して政権交代を実現することであるというものだ。

この提言は今まさに実現しようとしているように思える。

更に筆者は憲法の「改悪」をさせないためにと名打って、主権者として知っておくべき19の憲法の基礎知識を開陳している。

右派としての立場は崩していないが、筆者は一昔前より、言っている事がかなりまともになってきたと感じる。それだけ現在の自民党政権が危険なものだという事を、それは物語っているのだろう。

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