夏の扉へ
Wir sollen heiter Raum um Raum durchschreiten, -H.Hesse-
20241118
美術の物語
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B5サイズで688ページ。かなりの大型本だ。だがこれでも削りに削った結果だと言う。 先史時代から現代に至る迄の美術の歴史が網羅されている。しかし本の題名は『美術の歴史』ではなく、『美術の物語』だ。この辺りから著者エルンスト・H・ゴンブリッチのこだわりが垣間見える。文章はシンプルで...
20241106
なぜガザなのか
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読んでいて、身体がガタガタと震え出すのを堪えるのに必死だった。夢中で、怒りと自責の念に駆られながら、一気に読み切ってしまった。サラ・ロイ『なぜガザなのかーパレスチナの分断、孤立化、反開発』だ。 最初、しくじったかと思った。冒頭の序論「本書の位置付けと概要」で、本書は同じくサラ・ロ...
20241026
性的人身取引
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このブログで、本を扱う時は、その本を読んで貰いたいと願いながら書いている。しかし、今回採り上げるシドハース・カーラの『性的人身取引ー現代奴隷制というビジネスの内側』程、是が非でも読んで欲しいと願った事は、今迄に無かった。 読んで、気持ちが良くなる本ではない。むしろ現実の惨さに、思...
20241021
19世紀ロシア奇譚集
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学校教育では、美術では印象派が、文学ではリアリズムが幅を利かせている。19世紀のロシア文学と言えば、レフ・トルストイであり、ドストエフスキーであり、まるでそれ以外のジャンルは、芸術ではないかの如き勢いである。 本書、高橋知之編訳による『19世紀ロシア奇譚集』には、リアリズムの隆盛...
20241016
カノッサ
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S.ヴァインフルター『カノッサー「屈辱」の中世史」。原書は”CANOSSA-Die Entzauberung der Welt”。世界の脱魔術化と直訳出来るのだろうか?刊行後20年以上を経て尚読み継がれるロングセラーらしい。 カノッサの屈辱はその印象的な呼称と出来事から、高校生...
20240923
月曜か火曜
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ヴァージニア・ウルフ本人の手によって選ばれた、唯一の短編小説集の復刻である。 本書に含まれた8つの短編には、いずれも邦訳があるが、8篇全てを一冊にまとめて収録した邦訳はこれまで出ていない。 更に本書は8篇を元の順番に並べ、初版で使われていたウルフの姉ヴァネッサ・ベルによる4枚の木...
20240830
捜査・浴槽で発見された手記
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スタニスワフ・レムを知ったのは、いつの事だったのだろうか? かなり前、まだ膨大な本を所有していた頃、私はスタニスワフ・レムの『高い城・文学エッセイ』を持っていた。これが発行されたのが、2004年の事なので、ほぼその頃から、彼を意識していた事になる。 けれど、気になっていながら、私...
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