夏の扉へ
Wir sollen heiter Raum um Raum durchschreiten, -H.Hesse-
20240923
月曜か火曜
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ヴァージニア・ウルフ本人の手によって選ばれた、唯一の短編小説集の復刻である。 本書に含まれた8つの短編には、いずれも邦訳があるが、8篇全てを一冊にまとめて収録した邦訳はこれまで出ていない。 更に本書は8篇を元の順番に並べ、初版で使われていたウルフの姉ヴァネッサ・ベルによる4枚の木...
20240830
捜査・浴槽で発見された手記
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スタニスワフ・レムを知ったのは、いつの事だったのだろうか? かなり前、まだ膨大な本を所有していた頃、私はスタニスワフ・レムの『高い城・文学エッセイ』を持っていた。これが発行されたのが、2004年の事なので、ほぼその頃から、彼を意識していた事になる。 けれど、気になっていながら、私...
20240815
バトラー入門
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読み進めるうちに、私はジュディス・バトラーの『ジェンダー・トラブル』を読んだ事があるのだろうか?と、基本的な事が不安になった。 本書は、 私は本書でひたすらに『ジェンダー・トラブル』に拘ることにする。他の著作や論文を参照することもあるが、それはあくまで『ジェンダー・トラブル』を理...
20240809
おえん遊行
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遊行。ゆぎょうと読むらしい。 兎にも角にも文章が美しい。地の部分の標準語も、会話の日向弁も、それぞれが音楽のように響き合って、互いに美しさを引き立て合っている。 本文に続く「『おえん遊行』をめぐって」の中で、この作品を長編詩劇と表現しており、成る程と頷いた。 この文章は詩として書...
20240805
谷根千の編集後記
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かつて、今から15年前まで25年間発刊し続けられた地域雑誌『谷根千』があった。 本書は、その『谷根千』の編集後記だけを集めて作られた本である。 雑誌の題名は谷中・根津・千駄木の頭の文字を連ねたもの。東京の下町にまだ残っている(逆に言えば失われつつある)自然・建築物・史跡・暮らしぶ...
20240725
卵のように軽やかに
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これがエスプリというものか! ページを捲る度に、感嘆のため息をついた。 副題に「サティによるサティ」とあるように、エリック・サティ自らが、自分を語る作品なのだが、そこは音楽界きっての変人サティ。素直に一筋縄で括れるような語り方はしていない。 例えば批評家を批評するエセーでは、表向...
20240720
サラゴサ手稿
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複雑な構成を持った物語である。 ポーランドの貴族、ヤン・ポトツキが生きたのは1761年から1815年。だが彼がフランス語で著したこの奇想天外な物語の全貌が、やっと復元されたのは21世紀になってからだった。 シェラ・モレナの山中を彷徨うアルフォンソ・バン・ウォルデンの61日間の手記...
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