夏の扉へ

Wir sollen heiter Raum um Raum durchschreiten, -H.Hesse-

20260616

ネクロポリティクス

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M.フーコーが従来の権力観を転倒させて唱えた生の政治学。それを更に転倒させて死の政治学と題したのは、現在世界中に死が充満しているという現実認識があるからだろう。 実際パレスチナやウクライナの例を引くまでもなく、世界の権力は、人民の死を軽々と増加させてしまっている。 著者アシル・ン...
20260606

ヴァレリー・セレクション

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苦手と言う訳ではないが、畏れていて手を出せずにいる作家群がある。 尊敬して止まない方に止められていた事もあり、ポール・ヴァレリーはその筆頭とも言える存在だった。ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタインが意外に「読めた」ので、それに気を良くして本棚から『ヴァレリー・セレクション上・下』を...
20260603

薔薇のイコノロジー

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とことん調べ尽くされている。 人類は古代から花に様々な寓意を込めて来た。それは明らかな事。だがその実態はどうだったかは意外に明らかにされて来なかった。 著者若桑みどりは豊富な文献と作品の画像を駆使して、薔薇を中心として花の持つ寓意の実際を、個人、時代、そして洋の東西を越えて人類に...
20260529

ヴィトゲンシュタイン

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最初に『哲学探究』を手に取ったのは1週間前、22日の事だった。これと言った意図もなく、ただ図書館から借りて来たと言うのが動機だった。 だがちっとも分からない。かなり焦りを感じながらベージを繰った。 そのうちにどこが特に分からないかが見えて来た。ヴィトゲンシュタインの前著『論理哲学...
20260518

3934km

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フアン・カルロス・ケサダス『1934lkm国境を越えて』。 3934kmは主人公ネコが国境を越える迄に旅した距離の総計。 旅の殆どを支配しているのは、想像を絶する、過酷な運命だ。 多くのラテン・アメリカの人々がより良い未来を求めて合衆国を目指して過酷な旅に身を投じている。彼らの殆...
20260515

エクソフォニー

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日本語とドイツ語の間を軽々と越境し続ける作家、多和田葉子の様々な言語を巡る思い巡らし。 夢は日本語で見るのか、ドイツ語で見るのかと、良く質問を受けるらしい。著者はその質問に不快感を隠さない。 日本語が本物なのかドイツ語が本物なのかと、人を試す様な質問だからだ。 どちらでも見る様だ...
20260513

あじさしの洲/骨王

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『あじさしの洲/骨王 小川国夫自選短篇集』 力みのない、奇を衒った表現も全くない、淡々とした日本語が綴られている。それでいながら、描かれている情景は鮮明で、独特の光沢を帯びている。 それが小川国夫の文学である。 私はこの本を読み始めて、一行目から、ぐいぐいと引き込まれる力を、感じ...
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