20130619

ベートーヴェン研究

偶然だろうか?この頃古本が入手しやすくなったように感じるのだ。

先月は串田孫一の『愛を語る壺』が手に入った。

欲しいと思い続けてきたが、これ程美しい本だとは思っていなかった。
内容も実に良い。

そして今日、待っていた本が届いた。

どちらもかなり前に黒姫のよしはらさんに教えて頂いた本だ。

それ程ぐずぐずしていた訳では無い。
教えて頂いてすぐ方々を探し回った。

どこにもなかった。

それが立て続けに見付かった。

現在、マイブームはベートーヴェンだ。
あれこれ聴いている。

主にピアノ曲が中心だが、蒙を啓かれることが多い。

既に持っていたロマン・ロランの『ベートーヴェンの生涯』を読んでいた。
これもかなり良い。これを読んでいて、そう言えば!と思い出して古本屋サイトを探してみた。amazonには出ていなかったのだ。

あった!

ロマン・ロランの『ベートーヴェン研究』だ。

思ったほど高くなかった。

表紙裏に元の持ち主の名前が書かれているとあった。

気にしなければ良い。そう決断して注文した。

届いて驚いた。
確かに古い本だが、痛みが殆どない。

そればかりか全集の月報や腰巻きまで中に揃えられていた。

こうなるとかつての持ち主の名前すら愛おしく感じられる。

早速読んでいる。
良い。

『…生涯』がロマン・ロランによってデフォルメされたベートーヴェン像であるとしたら、この本はロマン・ロランが正面切ってベートーヴェンに挑んだ大仕事だ。

私としては『ベートーヴェン研究』の方が圧倒的に好きだ。

しかし、『…生涯』は今でも簡単に入手出来るが、『…研究』は絶版になっている。

これは何とも勿体ない話だ。

だが、致し方あるまいとも思う。
『…生涯』を読んでいて感じたのだが、ロマン・ロランは決して現代の日本向けの作家ではない。重厚すぎるのだ。

ロマン・ロランにある英雄願望も現代の日本には少し毛嫌いされそうな気がする。

ロマン・ロランは英雄的な人物にとことん惚れ抜いて、それを描く。

それなら司馬遼太郎の『龍馬が行く』も同じではないかとも思う。

だが、現代日本人には『龍馬が行く』は受け容れられても『魅せられたる魂』や『ジャン・クリストフ』は無理だと思う。

何故私はそう思うのだろうか?

もう少し言うと現代日本人の中の若者には『龍馬が行く』も無理だと思う。

6 件のコメント:

  1. 初めまして。私は70歳でもうすぐ71歳になるおばあさんです。20歳の誕生日に、父が「世界文学全集」をプレゼントしてくれて、その中のロマン・ロランの「ジャン・クリストフ」が私の「座右の書」となりました。もちろん「ベートーベンの生涯」も読みました。その頃、ベートーベン弾きといわれたヴィルヘルム・ケンプのファンでした。それから幾十年、音楽から離れていましたが。最近ひょんなきっかけから再び音楽を聴くようになって、若い頃はあまりわからないと思っていたケンプの音楽が、こんなにも心にしみていたのかと、驚いています。それで、どうしてケンプはベートーベンを他の人のようではなく、このように演奏するのか、とても知りたくなって、再び「ベートーベンの生涯」を読んだのでした。若い頃は彼の苦しみ、不幸、憂鬱、苦悩する彼が、青春時代の真っ盛りにいた私は半分も解りませんでした。それでも彼の喜び、やさしさ、誠実さは読み取れ、その頃通っていた音校の作曲の授業では「ベートーベンの二面性」などのレポートでいい点をいただいたことがありました。
     今再び読んで改めてベートーベンへの尊敬の心が湧いてきます。お写真の「ベートーベン研究」ですが、それと同じ本を持っていました。たぶん読んだと思いますが、全く内容は覚えていません。丁度。「生涯」を読んで、「研究」も読もうと思っていたところでした。私は図書館で借りられますので、時間が出来たら読むつもりでいます。このコメントが届けばいいのですが。

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  2. 初めまして。私は70歳でもうすぐ71歳になるおばあさんです。20歳の誕生日に、父が「世界文学全集」をプレゼントしてくれて、その中のロマン・ロランの「ジャン・クリストフ」が私の「座右の書」となりました。もちろん「ベートーベンの生涯」も読みました。その頃、ベートーベン弾きといわれたヴィルヘルム・ケンプのファンでした。それから幾十年、音楽から離れていましたが。最近ひょんなきっかけから再び音楽を聴くようになって、若い頃はあまりわからないと思っていたケンプの音楽が、こんなにも心にしみていたのかと、驚いています。それで、どうしてケンプはベートーベンを他の人のようではなく、このように演奏するのか、とても知りたくなって、再び「ベートーベンの生涯」を読んだのでした。若い頃は彼の苦しみ、不幸、憂鬱、苦悩する彼が、青春時代の真っ盛りにいた私は半分も解りませんでした。それでも彼の喜び、やさしさ、誠実さは読み取れ、その頃通っていた音校の作曲の授業では「ベートーベンの二面性」などのレポートでいい点をいただいたことがありました。
     今再び読んで改めてベートーベンへの尊敬の心が湧いてきます。お写真の「ベートーベン研究」ですが、それと同じ本を持っていました。たぶん読んだと思いますが、全く内容は覚えていません。丁度。「生涯」を読んで、「研究」も読もうと思っていたところでした。私は図書館で借りられますので、時間が出来たら読むつもりでいます。このコメントが届けばいいのですが。

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  3. コメントありがとうございました。先ほどようやく気付きました。申し訳ありません。

    ケンプのベートーヴェンは私も好きです。彼のソナタを聴いたのが、最近の私の中でのクラシックブームの始まりでした。かれはピアノを弾いていると言うより、音楽を弾いているのだと思います。

    ロマン・ロランの『ベートーヴェンの生涯』は私も好きです。
    けれど、余り知られていないのですが、ブログに書いた『ベートーヴェン研究』は、それを遙かに凌駕する作品だと、私は確信しています。

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  4. IKEDAさま、このコメント今気付きました。昨年11月頃から、ケンプのピアノの演奏が気になりだしてそれを解明したく、とうとう図書館でベートーベン研究を借りて読み始めました。今、「エロイカからアパッショナータまで」読み終わりました。読み始めた時は
    もうこんな年ですから、難しい本は読む気力も忍耐もないので、挫折する覚悟でしたが、あにはからんや、夢中になってここまで来ました。そしてどうしても手元に置きたくなり、私も古本屋めぐりをしました(*^_^*)ない、ないの連続でしたが、昨日やっと見つけたのです。でも25巻がないと言うことでした。それでも良いから、と注文しました。大阪市の古本屋さんが倉庫を探して見つけてくれました。手に取るのを楽しみに待っているところです。ロランは病みつきになりますね。

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  5. IKEDAさま、このコメント今気付きました。昨年11月頃から、ケンプのピアノの演奏が気になりだしてそれを解明したく、とうとう図書館でベートーベン研究を借りて読み始めました。今、「エロイカからアパッショナータまで」読み終わりました。読み始めた時は
    もうこんな年ですから、難しい本は読む気力も忍耐もないので、挫折する覚悟でしたが、あにはからんや、夢中になってここまで来ました。そしてどうしても手元に置きたくなり、私も古本屋めぐりをしました(*^_^*)ない、ないの連続でしたが、昨日やっと見つけたのです。でも25巻がないと言うことでした。それでも良いから、と注文しました。大阪市の古本屋さんが倉庫を探して見つけてくれました。手に取るのを楽しみに待っているところです。ロランは病みつきになりますね。

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  6. 西村和子さま
    2年以上もコメントを放置してしまい、誠に申し訳ありません。

    私はネットの古書サイトで探したので25巻も比較的簡単に入手する事が出来ました。
    大阪の古本屋さんには、大感謝ですね。
    もう読了されているでしょうか?

    ロマン・ロランは強い人物が好きなのだと思います。それを書かせたら右に出る者はいないと言っても構わないと感じています。

    ベートーヴェンもまた強い人物でした。

    聴力を失い、自死の寸前まで行って、そこから帰還してきたエピソードは、その強さを遺憾なく発揮していると思います。

    ロランの『ベートーヴェン研究』はその強いベートーヴェンの魅力の秘密を余すところなく掬い上げた名作だと感じています。

    確かにロランは病み付きになります。

    私はヘッセとの往復書簡からロマン・ロランに入りました。

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