20130301

ふたりのWilhelm

今日の午後、待ちかねていたCDが届いた。

Wilhelm Kempffのベートーヴェンのピアノソナタ全曲集シューベルトのピアノソナタ全曲集。それとWilhelm Backhausのベートーヴェンの4大ピアノソナタ集だ。

奇しくもふたりのWilhelmになった。

これだけ買っても8,000円足らずだ。

午後一杯の時間を費やして、Backhaus全部とKempff殆どを聴いた。

ちょっと大失敗を(また)やらかしてしまい、しょぼくれている。だからだろうか、Backhausのタッチが限りなく優しく響き、胸に迫るものを感じた。

Kempffはキッパリしたタッチで、荘厳な寺院を思わせる演奏だ。ちょっとした音程の上がり下がりに妙な快感がある。

どちらも良い。


気持ちが弱くなっている時、BackhausのWaldsteinを聴く巡り合わせはいつ始まったのだろう?

記憶の中で最も古い「慰めのWaldstein」は43年前の椎名町での事だ。Nespaという喫茶店で聴いていた。Rondoで繰り返されるテーマが心に響き、降りしきる雨の中どうにか再生へと導かれるのを感じていた。

今回はどうなのだろう?

あのテーマは今回も限りなく優しい。

ベートーヴェンやシューベルト。Wilhelm KempffやBackhaus。

そうした人脈を築いてきた西欧文明というものはやはり良い。弱った心はすぐそんな事を考え始める。

今回はBackhausで慰められ、Kempffで叱咤された。

いつ迄も音楽が響いていて欲しい。そう思わずには居れなかった。

いつ迄も逃げていられる訳ではないが…。

…頑張れ自分!

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